女性の健康と栄養

 
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不妊症と栄養

現在のところ、不妊治療は健康保険が適用されず自費診療となっています。不妊に悩むご夫婦はたいてい何年も治療を続けているため、精神的な負担に加え、経済的にも大きな負担があります。「もうやめようか。でも次にトライしたら赤ちゃんができるかも知れない」「ここでこんなにお金がかかってしまって、赤ちゃんが生まれた後の教育費をどうしよう」多くのご夫婦がこのような葛藤を抱えているでしょう。ところが栄養療法を並行して行なうと、不妊治療にかかる時間と費用が軽減できます。また、栄養状態がよくなると、妊娠にかかわらず元気になり、気分も明るくなるので良いことづくめです。

栄養不足が原因で赤ちゃんに恵まれない場合、次のようなパターンがあります。

  1. 1.コレステロール不足
  2. 2.鉄不足
  3. 3.亜鉛不足
  4. 4.ビタミンE不足

1.コレステロール不足

コレステロールには「肥満のもと」「心臓病、高血圧の原因」という悪いイメージがありますが、必ずしもそうではありません。むしろコレステロールが低すぎるのは、高いよりかえって良くないのです。
コレステロールは、女性ホルモンや男性ホルモンの原料ですので、コレステロールが少ないと月経、排卵が不規則になります。男性は精子が未熟になります。また、コレステロールは細胞膜の構成要素であるため、卵細胞や受精卵を元気にするためにはコレステロールが必要なのです。不妊症に悩む人には、やせている、肉をあまり食べないなど低コレステロールの傾向がみられます。

2.鉄不足

鉄は、受精卵がしっかり着床するための良い子宮内膜をつくるのに欠かせない栄養素です。
体外受精をしてもなかなか着床しない人は、鉄を充分に補う必要があります。
人間は、赤血球の新陳代謝などで一日平均1mgの鉄を失います。さらに女性は1回の月経で20〜30mgの鉄を失いますので、鉄不足になってしまう女性が多いのです。血液検査で貧血といわれたことがなくても要注意です。なぜなら、一般的な血液検査では、酸素運搬など生命維持に使われている鉄分が充足しているかどうかを調べているだけだからです。この時点で数値が低いと、生命を維持するのに精一杯で粘膜を作ったりする余裕などはありませんから、すでに重度の貧血ということになります。潜在的な鉄欠乏がないかどうかを調べるには「フェリチン」というたんぱく質の数値を調べる必要があります。フェリチンは、鉄の予備能を表します。フェリチンを調べると、月経のある女性のほとんどが鉄不足になっていることがわかります。
鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があります。肉やレバーなど動物性の食品に含まれるのは主にヘム鉄で、ほうれん草やプルーンなど植物性の食品に含まれるのは主に非ヘム鉄です。病院で処方される鉄剤も非ヘム鉄です。鉄は、ぜひヘム鉄のかたちで摂ってください。ヘム鉄の吸収率は非ヘム鉄の5倍ですので、ヘム鉄の方が効率よく吸収できます。また、非ヘム鉄は活性酸素を発生して胃の粘膜を刺激するため、吐き気、胃痛、食欲不振などの症状が起こりやすいのです。

3.亜鉛不足

亜鉛は鉄と同様に、受精卵が着床するための良い子宮内膜をつくる栄養素です。また、精子の形成や活動にも亜鉛が重要な役割を担っています。さらに受精卵は細胞分裂を繰り返しながら成長しますが、亜鉛は細胞分裂を促す働きがあります。お酒を飲むと、アルコールを代謝する過程で亜鉛が大量に消費されますのでご夫婦ともに控えましょう。

4.ビタミンE不足

ビタミンEは別名「妊娠ビタミン」「子宝ビタミン」と呼ばれています。ビタミンEは、コレステロールから性ホルモンを合成する際に不可欠で、生殖機能を維持する働きがあります。また、妊娠中においては、流産を防ぐ手助けをします。ビタミンEは細胞膜の中に存在し、細胞を活性酸素から守る役割をしています。卵子は、毎日作られる精子と異なって胎児期のうちに作られてしまうため、加齢と共に活性酸素の影響を受けて酸化し、古くなっていきます。ビタミンEは、自分が酸化されることで細胞を酸化から守ります。ビタミンEと一緒にビタミンCをとると、一度酸化したビタミンEが還元され、再び抗酸化ビタミンとして働く事ができます。

妊娠・出産・子育てが楽しくなる栄養

妊娠前からしっかり栄養をとっていると、妊娠中のつわりが軽くなります。
妊娠中は赤ちゃんにも新鮮な酸素をたくさん与えなければなりませんが、酸素を運ぶには鉄分が不可欠です。さらに、酸素は胎盤を通して赤ちゃんに運ばれますので血流をよくするビタミンEもしっかりとりましょう。(ただし、ビタミンA・E・D・Kは、過剰にとると良くありませんので、推奨量を守りましょう)
妊娠とは、お母さんが食べる食事だけで胎児をつくりあげるということです。未熟児で生まれてくるパンダなどの動物と異なり、ほとんど大人と同じ臓器や機能を持った生命をたった10ヶ月で完成させるのですから、一生懸命栄養を分け与えるお母さんは栄養不足になってしまいます。栄養が足りないと病気にもかかりやすく、感情も不安定になりますので、産後うつの原因にもなります。

出産はお母さんにとっても赤ちゃんにとっても大仕事です。分娩時はお母さんだけでなく、赤ちゃんも狭い産道を通るのにたくさんの体力を使います。栄養をしっかりとっていると、赤ちゃんもお母さんも体力・持久力がありますので、お産がスムーズです。

生まれてきた赤ちゃんはよく母乳を飲み、よく眠ります。また、お母さんからたくさんもらった栄養のおかげで病気や皮膚炎にもなりにくく、感情も安定しているためよく笑い、夜泣きやかんしゃくが少ないのです。赤ちゃんが幼児期になったときにもIQが平均より高い傾向があります。お母さんは産後の肥立ちもよいため子育てが楽しくなります。

ダイエットと栄養

ダイエットを成功させるには、食事でとるカロリーよりも、消費するカロリーのほうが多くなければなりません。それには、自分が一日にどれくらいのカロリーを消費しているのかを知り、食事でとるカロリーがそれを上回らないようにすれば良いのです。

人は、特に運動もせず安静にしている状態でもカロリーを消費しています。心臓を動かす。呼吸をする。汗をかくなど、生命を維持するのにエネルギー(カロリー)を使うことを基礎代謝といいます。基礎代謝量より摂取カロリーが少ないと、生命活動に支障をきたすため、いくらカロリー制限が必要だといっても基礎代謝を下回らないようにしなければなりません。基礎代謝量の求め方はいくつかありますが、「ハリス・ベネディクト方程式」では以下のようにして計算します。

女性   665+(9.6×体重Kg)+(1.7×身長cm)-(7.0×年齢)

男性   65+(13.7×体重Kg)+(5.0×身長cm)-(6.8×年齢)

この計算は欧米人体型に合わせて作られていますので、日本人の場合はもう少し基礎代謝量が少なくなります。

例)30歳女性 身長160cm体重50Kgの場合
基礎代謝量=665+(9.6×50)+(1.7×160)-(7.0×30)=1207

基礎代謝以外にも、無意識的に消費しているカロリーがあります。食事に伴う消化吸収の過程で消費するエネルギー(カロリー)で、食事誘発性熱産生といいます。食べたものによってカロリーの消費量が異なりますが、だいたい一日あたり200kcal消費しているといわれています。つまり、生命を維持するためには最低(基礎代謝量+200)kcalはとらなければならないということになります。

そのほか、仕事やショッピングで歩いたり、肉体労働をすることでもカロリーを消費しています。一日に消費するカロリーのうち、基礎代謝量はだいたい60%くらいになるといわれていますので、(基礎代謝で消費するカロリー+食事誘発性熱産生200kcal)÷0.6が一日に摂取できるカロリーの上限となります。

例)30歳女性 身長160cm体重50Kgの場合
基礎代謝量1207+食事誘発性熱産生200=1407kcal
1407kcalが一日に最低とらなければならないカロリー
上限は、1407÷0.6=2345kcal

つまり一日に摂取するカロリーが1407kcal〜2345kcalの間であれば、ダイエットに成功する計算になります。

すなわち、(基礎代謝で消費するカロリー+食事誘発性熱産生200kcal)から(基礎代謝で消費するカロリー+食事誘発性熱産生200kcal)÷0.6の範囲であればいいわけです。

ただし、カロリーにとらわれすぎてしまうと、つじつまを合わせることばかりに気をとられてしまい、食事の内容がおろそかになってしまいます。特に、女性が失敗するダイエットで多いのが極端に肉類を制限し、春雨スープや、コンビニのおにぎり中心の食事にしてしまうことです。たんぱく質をとらずにダイエットをすると、生命維持に必要なたんぱく質が不足してしまいます。すると、体は筋肉を分解することでたんぱく質を補おうとするため、「太ももが細くなった!」と喜んでいても、実際に減ったのは脂肪ではなく筋肉だった、ということになりかねません。また、「やせるときは、胸からやせる」と言う人も多いと思いますが、大胸筋がたんぱく源として使われてしまっている可能性があります。

その他の失敗では、「春雨しか食べていないから少しくらいおやつを食べてもいいはず」と、つい甘いものを食べてしまったりすることもあげられます。自分では少ししか食べていないつもりでも、意外に糖分を多くとっていることが多いのです。特に、甘いものと一緒に清涼飲料水を飲んでいると一日に角砂糖十数個分の糖分を摂ることになります。甘みがうすく感じられるスポーツドリンクにも糖分が沢山入っていますので、ビタミン、ミネラル補給のつもりで水の代わりに飲むのは逆効果です。
糖分を摂りすぎると、その時使われなかった分は肝臓で脂肪として蓄えられます。そのため、食事を少ししか食べていないのにやせないという人は、気づかないうちに糖分を沢山とっている可能性があります。

また、糖分を一度にとりすぎると血糖値を下げるために大量のインスリンが分泌されます。すると、一気に下がりすぎた血糖値を再びあげるためにアドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンが分泌されます。アドレナリンやノルアドレナリンは攻撃、怒りなどの感情をつかさどるため、ダイエット中にイライラしやすくなり、リバウンドの原因になってしまいます。さらに、何度も血糖値が急上昇したり急降下したりしているうちに、インスリンが分泌されても血糖値が下がらない体質になってしまい、通常より大量のインスリンが分泌されるようになります。これをインスリン抵抗性といいます。インスリンは、脂肪細胞を拡大させる作用があるため、ますます太りやすくやせにくい体質になってしまうのです。インスリン抵抗性は、脂肪の多い食事でも起こります。

○GI値の低いものを食べましょう
食品を摂取したときの血糖値の上がり具合を数値化したものをグリセミック・インデックス(GI)といいます。ブドウ糖を100として、相対的に評価します。GI値が低いほど、血糖値が急上昇しにくい食品になります。砂糖はGI値が高いので、風味付けにはメープルシロップ、調理には羅漢糖などの人工甘味料を使うなど工夫をしてください。どんな食品でも、GI値が低いからといって大量に摂ってしまうとよくありません。

 
高GI値食品(GI値70以上)
 
中GI値食品(GI値60〜69)
 
低GI値食品(GI値59以下)
【糖類】
食パン 91
精白米 88
もち 85
うどん(乾) 85
ベーグル 74
そうめん(乾) 67
パスタ(乾) 64
中華麺(生) 60
玄米 55
ライ麦パン 55
そば(乾) 53
【野菜・豆類】
じゃがいも 90
にんじん 79
山芋 75
かぼちゃ 65
さつまいも 55
トマト 30
大豆 30
大根 25
小松菜 23
ほうれん草 15
【肉・魚介類】
ベーコン 49
ハム 45
牛肉 45
豚肉 46
鶏肉 44
あじ 44
ほたて 41
しらす 40
いか 40
いわし 39
【乳製品・卵】
生クリーム(無糖) 38
チーズ 32
卵(生) 30
バター 30
牛乳 25
ヨーグルト(無糖) 25
【果物】
パイナップル 65
バナナ 55
ぶどう 50
メロン 41
オレンジ 30
【糖類】
上白糖 99
黒砂糖 93
はちみつ 75
メープルシロップ 73
人工甘味料 10

○おすすめはちょこちょこ食べ
食べたものが糖に変わる速さは糖質>たんぱく質>脂質の順です。血糖値の急上昇を避けるためには、ゆるやかに糖に変わるたんぱく質や脂質を少量ずつ、一日数回に分けて摂ったほうがよいのです。そのため、理想的な食事は一日五食です。お仕事上、どうしても三食しかとれない場合は、10時ごろと3時ごろにおやつをとりましょう。もちろんおやつは甘いものでなく、ゆるやかに血糖値をあげるチーズやナッツ、プロテイン飲料などです。

○太りにくい順番で食べましょう
血糖値の急上昇を抑えるには糖質の少ないものから食べて、徐々に血糖値をあげるようにしましょう。まず、糖分の吸収を抑える作用のある食物繊維から食べます。つまり野菜や海藻類です。次にたんぱく質を含む肉・魚・卵・豆腐・豆類(甘い煮豆以外。納豆など)→糖質を含むいも類・白米→デザート。どうしても外食をしなければいけないときは、この順番で食べるようにすると、血糖値の急上昇を抑えることができます。

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